裂地とは?

裂地の意味は深く一般に織物の事をキレともいいます。キレとはそもそも物の切れ端の義であり、織物の長尺物から必要に応じて切り取って利用する事から、その切り分けたパーツをキレといい、これがやがて織物自体をキレと呼ぶ由縁です。 

室町時代から江戸時代初期にかけて茶人や上流武家などによって選び出された一群の優れた裂を名物裂と指し、その殆どが中国やインド、東南アジアから渡ってきた金襴、緞子、錦、風通、金紗、更紗など、今日では表装具や袈裟、法依、仕覆、御簾などに使用されています。裂地には日本人が忘れてきた日本の美意識、過度には主張しない「侘(わび)や寂(さび)」があると言われています。 

裂地の特徴

<素材> 

裂地は一本一本、糸染めから整経して経糸(たていと)と緯糸(よこいと)によって織られています。 
この緞子はキュプラと綿で出来ています。キュプラにはシルクのような光沢があり、発色もよく、耐久性、耐摩耗性に優れています。また糸の色を変えることによって鮮やかな文様を作り出しています。地は厚く光沢のあるところが特徴です。 

<文様> 

公家の調度類や服飾、輿車 (よしゃ)などに用いられた伝統的な【有職文様】や、身につける人から災いを遠ざけ、 幸福を招くといわれている【吉祥文様】などがあります。これらは奈良時代以降中国やインド、東南アジアから渡来し、日本人好みに改良されてきました。 

<用途> 

今日では表装具や袈裟、法依、仕覆、御簾などに使用されています。